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■Lucyみさおの逃亡日記カラコルムハイウェイ編VOL1:しゃいしゃい!■
DATE:2005.08.08 ウルムチ(新疆ウィグル自治区)
REPORT&PHOTO:Lucyみさお
「ぼる気やな」

ウルムチ空港25時。
あのゲートを抜ければ一般道に出る。
降りるなら今しかない。
私はゲートの前でタクシーをストップさせた。

「メータープリーズ」

助手席で私は何度もメーターをたたいてみせる。
カワイイ顔した坊主頭の若い運転手は窓から手を出し外の暗さをアピールする。
メーターだとばかり思って拾ったタクシーは案の定「メーター付の白タク」だった。

拾ってしもたもんはもうしゃあない。
こんな時間に突然車から降りるのはかなりの危険もある。
しゃあない。こうなったら事前交渉あるのみ。
私は運転手にガイドブックの一言会話集を見せ、値段を尋ねた。

「100!」

小さなケータイの画面に「100」と表示させ、運転手はそれを私に見せる。
ニイチャン何を考えとるねん、こんなもん、どう考えたかてまともにいったら20元もかからん距離やんけ。だいたいここの初乗り5元かそこらやろ。 

「50!」

私は「フィフティー!」と言いながら、片手を運転手の目の前で広げ、めちゃくちゃな英語でまくしたてた。運転手は首を振りながらまた窓から手を出し、深夜であることをアピールする。  

奴のカワイイ顔にすっかり安心したウチが甘かった。
ここは中国。一筋縄ではいかん国。

とはいえ、こんなところでいつまでも車停めてこの運転手と値段交渉しているわけにもいかん。こちとら昨夜の徹夜と朝から三本の飛行機乗り継ぎで体力はそろそろ限界になりつつある。

「60!」

私は両手を使って「60」を示しながら、首を振る運転手に車を発車させた。

攻防は続く。 
お互い言葉が通じないことはわかっている。
運転手は片手でハンドルを握り、黙って真っ直ぐ前を向いたまま、「80」と表示させたケータイの画面を私に見せ付ける。

そうか、言葉で言うてもアカンのか。

私は運転手の手からケータイをぶん取り、そこに「60」を表示させようとした。しかし、使い慣れないケータイは、ボタンを押す程に数字の桁を上げていく。

こらあかん。絶対押し切られる。

私はバッグから自分のケータイを取り出し、赤いリボンをつけたモンチッチの待ち受け画面を見せてから、改めて「60」と打ち込み運転手の顔の横に押し付けた。

運転手は頬をひきつらせながらも、窓から手を出し、大声でアピールし改めて自分のケータイを見せ付ける。

「80!」
「60!」

真っ暗な車内で、中国語と英語のワケのワカラン会話が大声で飛び交う中、二つのケータイの画面だけが、きらきらと光る。やがて交渉決裂のまま、タクシーは「新疆飯店」に到着した。

私たちは黙ったまま、二人並んで座っている。

--こういうときってどないしたらええんやろ。
   払うにしても払わんにしても、とりあえず"おおきに"くらい言わなアカンわなあ。
   あれー、中国語でおおきにってなんて言うんやったかいなあ・・。

私がガイドブックをめくっている間に、運転手は黙ってタクシーを降り、後ろのトランクから私のリュックを取り出した。私もあわててタクシーから降り、リュックを受け取る。

一瞬の沈黙。

私は60元を握り締め、運転手の真正面に立ち大声で言った。

「しゃいしゃい!」

ずっこける運転手。

そのスキに奴に60元を押し付け、もう一度「しゃいしゃい!」と言って手を振りながら私はホテルの中へとトンズラした。


■しゃいしゃい■
正確には「しぇぃしぇぃ:謝謝」です。
こんな簡単な中国語も知らんのか、と、驚かれることと思いますが、私、本当に知らなかったんです。
だからこのときは、なんで運転手がずっこけているのかもわからんかった。
まあでも、こういうこともありますがな(^0^)

■ウルムチのタクシー■
昼間はすべてメーターです。初乗り5元(だったと思う)
上海とかより安いです。運転も荒くない。
ただ、深夜に白タク化するのは、どこでもよくあること。
このへん、どうぞお忘れなく。

NO:2 客什、好?

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