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■Lucyみさおの逃亡日記カラコルムハイウェイ編VOL3:あんた誰?■
DATE:2005.08.09 ウルムチ駅(新疆ウィグル自治区)
REPORT&PHOTO:Lucyみさお
「客什(かっしゅう!)」

恰幅のいい駅員の声で、人々が一斉に席を立つ。

あせる必要などどこにもない。
切符にはちゃんと座席ナンバーが記されている。

私はリュックを背負い、肩からバッグをナナメに提げて、首からデジタルカメラを吊るし、パンと水の入ったビニル袋を両手に抱え、時折、広く整備の行き届いたホームに立ち止まって写真を撮りながら、他の人より随分と遅れて列車に乗り込んだ。

各車両の乗り口に、選挙の候補者か「ミスおらが農協」かのごとく、肩からきらびやかなタスキを下げたその車両担当の女性車掌が立ち、乗客を「口撃」口調で歓迎する。

私はフジヤのペコちゃんをそのまま大人にしたような、ほっぺの赤い車掌に切符を見せ、その指示に従って、二階席へ上がった。

そこはもう既に満席状態。
あっちゃでワイワイ、こっちゃでワイワイ。
その想像を絶するすさまじい賑やかさに面くらいながらも、アカン、ここでひるんでは、この先23時間、自分がしんどうなるだけや。そう、自分に言い聞かせ、私は平然としたそぶりで自分のシートを探す。

ない、
ない、
ない、
ここでもない。

気がつけば、車両の反対側の階段を下り、乗車口からホームに出てしまった。

なんでや?おかしい。たしかにここや。

私はリュックを背負い、パンと水の入った袋を抱え、デジタルカメラを首からぶら下げて、また、ペコちゃんが立つ乗車口に向かった。

なあ、ウチのシートここでええん?
不慣れな英語にペコちゃんは困った顔でチケットを確認しながら腕全体で階段を指し示す。

しゃあないなあ。

私はまた自分のシートがあるはずの二階席目指して階段を上り、そしてまた反対側の乗車口から出てきた。

なんでやねん?

私はまたペコちゃんのところへ行き、今度は前よりも大きな声で英語でまくしたてる。

あらへんねん、どこのシートも皆誰かが座ってるねん。
ほんまにウチのシートはここでええん?

ペコちゃんはまた困った顔でチケットを確認しながら、うんうんとうなづき、階段を指し示す。

うーん、困ったなあ。

今度は階段を上がらずにどうしようかと思案していると、その様子を見ていたらしいカタコトの英語が「わかるらしき」ネエチャンが私に声をかけてきた。

ああやっぱり、ウチって日ごろの行いええんやわ。
このネエチャン、どうやら一緒にシートを探してくれるらしい。

私は満面の笑みで彼女に礼を言い、一緒に階段を上った。

ここでもない、
ここでもない、
ここでもない。

彼女はなれた様子でシートを確認する。

車両も随分と奥深く、つまり、反対側の階段に程近いところまで来て漸く

あった!ここがあなたのシートよ!

彼女が私のほうを振り向き、笑ってシート番号を指し示した。

よかった!おおきに!

彼女とともに喜びいさんで、いざそのシートを見てみると、そこには見知らぬオバハンがすました顔して座っていた。



■南疆鉄道■
中国の長距離列車は、駅舎に入るのにまず切符を見せ、そのあと、待合室に入るのにまた切符を見せ、そして、列車ナンバーの看板が立てられたあたりの椅子で座って乗車を待ちます。

駅舎は禁煙。ウルムチ駅は非常に新しい近代的な建物で、掃除も行き届き、それはそれは清潔でキレイです。けれど、一歩トイレに入るとそこはもう「紫煙もうもう」の世界。
トイレは男女別々ですが、洗面所は共同で、そこが喫煙所代わりになっています。
普通なら火災探知機が反応するはずですが、それがないあたり、どうやら暗黙の了解なのでしょう。

乗車は飛行機のボーディングとほぼ同じ。
発車時刻の約30分程度前に駅員の掛け声にあわせて乗車が始まります。

■見知らぬオバハン■

普通、始発駅に関しては全席指定です。だから確実にシートは確保できるはずなのですが、時々こういう不思議なオバハンとかが乗っています。黙っていると自分が座ることなどできなくなりますから、とにかく自分の権利はしっかり主張すること。

途中から乗ってくる人はシートの取り合い状態です。
シートのない人は通路とかに座ったり寝たりしています。
トイレなどで席を立つと、帰ってきたときには大抵誰か知らない人が座っています。

こういうときは、にっこり笑えばちゃんとシートをあけてくれるので安心していて大丈夫です。

NO:4 ここから始まる列車の旅

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