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■Lucyみさおの逃亡日記カラコルムハイウェイ編VOL4:ここから始まる列車の旅■ DATE:2005.08.09-10 南疆鉄道(新疆ウィグル自治区) REPORT&PHOTO:Lucyみさお |
「南疆鉄道の硬座シートは非常によい。
リクライニングではないが普通程度にクッションもある。 カバーもキレイにクリーニングされている。 幅は狭いが体の小さな私には充分な余裕がある。 コンパートメントの真ん中には共用の小さなテーブルもある。 ゴミを入れるトレイもある。 床は美しくゴミ一つない。 トイレは各車両の前後に二箇所ずつ、洗面所もキレイで、おまけに「お湯」を入れるための給湯設備もある。 私のシートは二階席で、通路側にも関わらず両側の窓から見える景色は非常によい。 何一つ問題ない、快適な列車の旅。 やがて列車が動き出し、私は駅の売店で買った丸いミルクパンを頬張りながら窓に映し出される広い広い大地にゆったりとした旅の始まりを実感していた。 その瞬間。 「なんちゃらかんちゃらかんちゃらあんちゃら!!!」 数人の仲間を引き連れたさっきのペコちゃんが突然車両の入り口で叫んだ。 その声とともに、周囲の人は鞄や胸ポケットから、チケットを取り出す。 なんやチケットチェックかいな。 私はパンを片手に口をモゴモゴさせながら、にっこり笑って切符をペコちゃんに差し出した。 何も問題はない。 私は二つ目のパンを食いながら、改めて旅のスタートを実感していた。 その瞬間。 「なんちゃらかんちゃらかんちゃらあんちゃら!!!」 また数人の仲間を引き連れたペコちゃんが例のごとく車両の入り口で叫んだ。 その声とともに、周囲の人は鞄や胸ポケットからなにやらそれぞれに形の違う紙を取り出す。 え?何?何やってんの? 私は何をしていいのかわからない。 しかし、だいたいどこの国でも乗り物で提示するのはチケットかパスポートと相場が決まっている。 私はあわててバッグから赤表紙のパスポートを取り出した。 ペコちゃんは一人づつ差し出された紙を確認しながら、手にしたノートにチェックを入れていく。 私も皆と同じようにパスポートを差し出した。 ペコちゃんは「いや、あんたはええねん」という様子で手を横に振る。 その様子を見ていた隣のシートの一人旅のネエチャンも同じように「ええんよ、あんたは」というそぶりをし「日本(Riben)?」と私の国の名前を確認する。前に座っていたアベックの若いお姉ちゃんは目を見開いて私をじっと見る。アベックの隣に一人で座っていたニイチャンは私のパスポートには気付かず突然歌を歌いだす。 あれは何か、多分中国国内のビザか通行証かそんなモノなんかなあと思いつつ、誰に尋ねることも出来ず、私は三つ目のパンを食べだした。 窓の外には雄大な広い砂漠が広がり始める。 ああ、これがシルクロードなんやなあ。 感慨は深まる。 その瞬間。 「なんちゃらかんちゃらかんちゃらあんちゃら!!!」 また数人の仲間を引き連れたペコちゃんが例のごとく車両の入り口で叫んだ。 今度は誰も何もしない。ただ黙って身を引き締めている。 ペコちゃんたちご一行は荷物棚の中から無差別に荷物をピックアップし「誰のやのん?!これ?!」と叫んでは持ち主を確認し、中身を全部開けさせチェックをする。 いったいどういう基準でピックアップしているのか。 いったい何をチェックしているのか。 その強引な様子に目をテンにしながら私はペコちゃんご一行が車両からいなくなるのを口をぽっかり開けて見ていた。 やがて乗客達がざわざわとやっと普通に賑わい始めた。 窓の外には砂漠が広がり、トルファンの遺跡もところどころに姿を見せる。 隣のネエチャンはぼんやりと窓の外を眺め、向かいのアベックは人目はばかることなくいちゃつき始め、その隣のニイチャンはまた歌を歌う。 ああこれぞのんびりした列車の旅。 窓の外に広がるシルクロードの風景に心をときめかせながら私は4つ目のパンを頬張った。 その瞬間。 「トルファン!なんちゃらかんちゃらあんちゃらトルファン!!!」 今度は一人で車両に現れたペコちゃんがトルファントルファンと叫びながら車両をずっと歩いていった。 やがて列車はトルファン駅に停車し怒涛のような勢いで現地観光客が乗り込んできた。 その賑やかさに唖然としているうちに列車は発車し、またペコちゃんご一行が同じように叫び声を上げて車両に登場した。 NO:5 天山南路 |
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