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■Lucyみさおの逃亡日記カラコルムハイウェイ編VOL8:ちょいと早めの目覚まし時計■ DATE:2005.08.10 カシュガル REPORT&PHOTO:Lucyみさお |
昨夜は結局眠れんかった。
カシュガルにつくまでいくつかの駅に停車し、その都度、乗車する座席指定を持たない人たちが怒涛のような突撃を繰り返し、やがてドアの前や階段のあたりには座席に座れなかった人があふれ出した。 ドアが閉まっている間、その前には山盛りのゴミ袋が置かれ、その前に床に新聞やダンボールを敷いて乗客が寝たり座ったりしている。 若い頃、東京へ出張するのに新幹線で座れず似たようなことをした。 新大阪から乗るのに、たった一本、15分かそこらか遅らせればのんびり座っていけるのに、20歳かそこらの私にはその時間すらも惜しかった。随分と懐かしい光景だった。 やがて列車は終点カシュガルに到着した。 エアコンの効いた車内から一歩外に出ればそこは真夏の真昼間。 北京時間14時。ローカルタイムの午後0時。 お日様は丁度頭の真上にある。 立派な駅舎を出ればそこには何もないただだだっ広いだけの土地が広がっていた。 タクシー乗り場もなければバスの乗り場も見当たらない。 ハンパやない強い日差しにあわてて帽子をかぶりながら、私はさてこれからどないしたもんかいなと思案した。 例のごとくホテルは予約していない。 いくつかのホテルをピックアップしてはきたけれど、結局列車に乗ってる間に決めることなく到着した。 ウチも随分とエエ加減になったもんやなあ、と自分の行動にあきれつつ水を飲みながらガイドブックを開いてみる。 候補は二件あった。 一件は其尼瓦克賓館(QINIWAKE HOTEL)もう一件は色満賓館(SEMAN HOTEL) 予算は一泊100元まで。できればバスルーム付のシングルルームに泊まりたい、でも、中国のホテルはとにかく高くて、無理ならドミトリーしかない。 ガイドブックに掲載されているシングルルームの金額は大抵一泊200元以上。しかしそんな"値段"はあってないもの。宿泊費なんてモンは自分で交渉して決めるモン。フロントで100元以下まで値切れればそれでオッケイ。アカンかったらドミトリーに直行するだけ。ここカシュガルで一泊数十元のドミトリーがあるのはこの2件しかない。 ♪どちらにしようかな。 ♪ウラのゴンベさんに聞いたらよくわかる。 ♪ぷっとこいてぷっとこいてぷっぷっぷ! まったく自分でもアホちゃうかと思いつつ、私はガキの頃によく遊んだ遊び歌を歌いながらガイドブックのホテルを指差しぷっぷっぷ!と宿泊先を決めた。 あたりに停車しているタクシーの中から好みの若いニイチャン運転手を捕まえ、ガイドブックを見せてホテルの場所を知っているかどうか確認する。ニイチャンは声に出してホテルの名前を確認しながら「うんうん」とうなづく。私は後ろのトランクを開けさせそこに荷物を放り込み、助手席に座った。 タクシーは今まで見たこともないような不思議な広い何もない土地を走り始める。道の両側には見たこともない真っ直ぐに伸びた木の林がどこまでも続いている。すれ違う車はほとんどなく時折ロバが引く車が行き過ぎる。 えらい田舎やなあ。 駅っちゅうのは街中にあるもんやけど、ここは随分外れたとこみたいやなあ。 見慣れない穏やかな風景に気持ちをのんびりさせながら、ふと我に返り目の前のメーターがぶっ壊れていることに気付く。 何やねん、また白タクかよ。 しゃあないなあ。 私はぶっ壊れたメーターをバンバンたたいてニイチャン運転手に値段を尋ねた。ニイチャンは人差し指を一本すっと伸ばす。 100元?! アホかニイチャン、そらこんな街ハズレから街中へ乗せてもらうのにナンボかぼったくるんはわかるけど、それでもなんぼなんでも100元は高過ぎや!アンタ、そんな可愛らしい顔してウルムチのボッタクリよりタチ悪いがな!アカンアカン、ウチはそんなん払わへんでえ! ニイチャンの細く長い、値段交渉でなければ「あらん」と見とれてしまうような色っぽい指が指し示すその金額に私は唖然として、どうやってその値段を負けさせようかと考え考え、ただ首を横に何度もかしげていると、ニイチャンは運転席の前にあるボックスからすっと一枚の紙幣を取り出し私に見せた。 それは10元紙幣だった。 NO:9 なんやちょっとええやないの |
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