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■Lucyみさおの逃亡日記カラコルムハイウェイ編VOL18:きゃっほう!■ DATE:2005.08.11 カシュガル REPORT&PHOTO:Lucyみさお |
市場を奥へ奥へと入り坂道を登るとそこにはカシュガル独特の住宅地が広がる。
砂の道、砂の塀、砂の家。 あたり一面砂色に埋め尽くされた中を時折砂埃をあげてバイクが通り、色鮮やかなスカーフ姿の女性とすれ違い、子供たちが遊ぶ。 風が吹くたびに道路から砂埃が立ち上がり、その都度ヘソ丸出しでシャツをめくり腹の中にカメラを隠す。 小さな男の子が一人で坂の中腹あたりに座って遊んでいる。 私は単純に坂の上へ行ってみたくて男の子のいるほうへ歩き始める。 彼は顔と体を引きつらせ、一歩二歩、じりじりと私を見つめながら後ずさりし、やがて大声で泣きながら坂の上の家へと駆け込む。そしてすぐ、彼を両手で抱いた彼の母親(多分)や家族の女性達が何事かと現れ私をじっと見つめる。 「ウチ何もしてへん!泣かしてへん!」 引きつった笑顔で手を振り、あわてて坂道を引き返し、少し迷子になった後、学校の前に出る。 何人かの子供が寄ってきて写真をせがむ。 やがて一人の女の子とのツーショットを巡って男の子たちのバトルが始まる。 「なんちゅううらやましい、もとい、ケンカはあかん。」 バトルのおかげでレンズに傷をつけられてはたまらんと、ポケットに入れていたキャンディーを差し出すも、一人一つではナットクせず、次から次に手を差し出し、挙句通りすがりのオバハンにまで手を差し出され。 「なんでオバハンまで2個持っていくねん?」 こんなことを繰り返しながら、さ迷い、写真を撮り、また市場に出て、今度は商品を見てはへらへら笑いながら、来た道をエイティガールモスクへ、そこから歩いて、途中釜から出たばかりの小さなパンを一個買い、ホテルへと戻った。 −ウチの見たかったんは市場なんや。 シャワーを浴び、洗濯を済ませた後、私はベッドに座って常温のビールを飲みながら写した写真を見返していた。 −なんでもっと早うに気がつかんかったんやろ。 モンゴルで私は、草原のゲルに向かう途中「一緒に買い物に行こう」というドライバーの誘いを軽く断って、ウランバートルの巨大市場ザハの駐車場で彼を待っていた。 タイでは線路の上に広がるマハチャイの市場の中にいながら、列車にばかり気を取られてそこを歩き回ることすらしなかった。 あの時ザハに一緒に行っていたら、マハチャイの市場をとことん歩きまわっていたら、もっとその国独特のいろんなモンが見れたやろうに。 その土地のオリジナルスタイルを守っている市場は、観光地などよりもずっとずっとユニークな文化を見せてくれる。商品はもちろん、そこに集まる人々、交わされる言葉、音楽、行きかう紙幣、そして値段の交渉術に至るまで、その土地の、一番根っこにある民族性みたいなものを(多少ショウバイニン寄りではあるけれど)理屈ではなく実感として感じさせてくれる。 −ウチがワクワクしたんはきっとこのせいやったんやなあ。 そしてその市場をもっともっと近くで感じるために、そこに図々しく入り込むために、もっともっとワクワクするために、ウチは道端に座って乞食まがいのパフォーマンスをやってきたんやなあ。 今まで見つからなかったものがやっと見つかった瞬間に、それまでの旅で経験してきた、小さな小さな点でしかなかったことが一気に線で繋がり面が出来上がったような気がして、心臓がドキドキするのを押さえきれず、私は思わず「きゃっほう!」と身をよじった。 NO:19 いんしゃら! |
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