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■Lucyみさおの逃亡日記カラコルムハイウェイ編VOL31:ホッパー氷河■
DATE:2005.08.15 ホッパー氷河
REPORT&PHOTO:Lucyみさお
ゲートでジープを降りた後、現地のガイドに案内されるまま氷河への道を降りる。
アリは一緒には来ない。
彼が同行するとガイド代が二人分に跳ね上がることは後で知った。

アリの気遣いも知らず「アリは?アリは?」と迷子の子どもが母親を探すように何度もガイドに尋ねる。
彼は黙って笑っている。

氷河は随分と荒々しい岩場を下ったところにある。
恐らく直線距離にして20mはあるだろう。
ガイドが私より先に岩場を下り始めたとき、私は思わず叫んだ。

「I can't! (アカン!)」

どこからどう見てもこの岩場はヘビーなトレッキングコースで、こちとら足元だっておぼつかない。おまけに、無事降りることが出来たとしても今度はこの岩場をロッククライミングよろしく登ってこなくてはならない。

そんなことできるかい!

私は人のよさそうなガイドに言った。

「あのな、ウチ、肺にちょぴっとプロブレムあるねん。
せやからな、こんなトレッキングは難しいねん。」

ガイドは寂しそうな顔で応える。

「そんなこと言わないで。氷河まで行けば、美しい氷河はもちろん、空や山や、素敵な景色が見れるよ。」

だいたいパキスタンのガイドはハンサムぞろいでいけない。

彼が寂しそうな顔になるのは、もし万が一、ここでウチが引き換えしたらガイド代が懐に入らなくなるからに他ならない。
しかし、オトコマエに弱いウチは、そんな判りきったことにすら気付かず「え〜そんなん言わんといて〜」状態になってしまう。
結局彼のその寂しげな優しげな説得に頷くカタチで、私は彼に手を引いてもらい、時にカラダを支えてもらいながら岩場を降りた。

気がつけば氷河は目の前にあった。

それは北極あたりの氷の塊、というのとは違う。
巨大な岩盤に氷がコーティングされ、岩と氷の持つ、強さと荒々しさだけをむき出しにしたかのような雄姿。

「絶対直接手で触れてはいけないよ。」

氷河に降りる前、アリが言った言葉を思い出した。
少しでも指先で触れれば、そのまま皮がくっついて離れなくなるほど温度は低い。

不思議な光景だ。

Tシャツ一枚でも汗が出るほど気温は高い、なのに氷河が目の前にある。

氷河の向こうには荒々しい山肌をむき出しにした山々とそして真っ青な空が広がっている。


■ホッパー氷河スライドショー  

NO:32 カラダが悲鳴

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