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【洋平くんの上高地リポート(2)】(2000.9.15 UP DATA)
DATA:2000.9月 上高地
REPORT:小泉洋平 (関西学院大学総合政策学部4回生:学生環境団体ISOP代表)

国立公園といえば、常についてまわる問題があります。それは、下水です。
上高地リポート(1)にも書いた交通規制。この仕組みを導入するにあたって、地域住民からは「来場者数が減るのでは?」という規制には反対の声もあったそうです。しかし、実際は交通規制することで渋滞が緩和され、逆に来場者は大幅に増えました。そして、それに比例して汚水も増えました。以前は屎尿は何も処理されず、川に垂れ流していたそうです。上高地の清流は有名で、実際見た目は気持ち悪いぐらいきれいですが、その川が、一時期大腸菌に汚染されたそうです。
(もちろん、汚染されたのは飲料水用の水源になっているのとは別の川です。飲み水に使われている川は、サラサラという音を立てて流れているところから数百メートルも上流に歩くと、川の音がコポコポという音に変わる、つまりもうそこが源流っていうことなんですけど、それぐらい短い、数百メートルしかないほんとに短い川なのです。毎秒700リットル、コンコンと湧き出ているそうで、上高地で飲まれている水の全てがこの川の水で賄われています。)
部分的には今でも汚染されているところがあるそうですが、今は下流から徐々にきれいにしていこうという取り組みが進んでいて、かなり元の美しさを取り戻しつつあるそうです。
汚水の具体的な浄化設備については、上高地周辺では既にほぼ完全に整っているのですが、そこから更に上、穂高岳や奥穂高岳とかの山小屋なんかではまだまだ垂れ流しっていうところも多いそうです。山の上の方は、資材を運ぶのも一苦労ですから。

ちなみに、上高地までは資材を上げるのにヘリを使っています。これが上高地で宿泊料金が高くなる原因です。まあ、こればっかりはしょうがないんですけどね。環境庁が救難用に整備したヘリポートを民間が使わせてもらっている形なのですが、これがまた、日本の行政らしさが垣間見えて面白いです。
上高地の運営には民間の力(ホテルなど)が必要だから、民間が参入しやすいように彼らが資材を運ぶ手段を国が確保しようと思うのだけれど、国は堂々とはそれを出来ないもんだから、建前上「救難用」ということで(もちろんそれも大事ですけどね)ヘリポートを整備し、民間の資材運搬の手段を確保したというわけです。そして、国の施設を民間が使う場合、本来なら国に対して使用料を払わないといけないのですが、それを払わずにすむように、国はヘリポートの管理を外郭団体に任せ、民間はヘリポートが空いている時に外郭団体に依頼して使わせてもらうという形を取っているのです。うーん、ちょっと説明がわかりにくいですかね? まあいいや。話が脱線しまくってますが、戻りますね。

山小屋の下水設備。これにはいろんな要素が絡むので、結構難しいらしいです。
下水の浄化設備に必要な3大要素。それは「電気」「水」「土壌」です。この3要素が揃っている山小屋ならすぐに浄化設備を整備できるのですが、揃っている要素が少なくなるほどヤッカイで、維持管理にめちゃめちゃお金がかかることになります。だから費用と便益を考え合わせて最適な点を見つけないといけないので、一概に下水を整備するべきだとは言えないのです。
同じような例がもう1つあります。上高地に乗り入れるバスは全てハイブリッドの低公害車です。しかし、それでも排ガスは出ます。全部のバスを電気自動車にすべきでなのしょうか?
僕はNOだと思います。
これは上高地だけの話ではなく、私たちが普段乗っている車でも言えることですが、今乗っている車からエコカーに乗り換えるべきかと言えば、決してそんなことはありません。多少排ガスが多く出ても、それは車を1台作るほどの環境負荷ではない場合も多いからです。そういう意味では、私たちは「エコカーに乗る」べきなのではなく、「今の車に乗りつづける」べきだとも言えると思います。

結局、環境問題ってのはバランスの問題ですから、マクロ的な視点が必要になってくるし、かかるコストとベネフィットの相関関係でしかないんですよね。ただ、その相関関係の中にこれまで入っていなかった、忘れ去られていた価値が存在する。それを今までの相関関係の中に加えてやるのが大事なんだと思います。

「20世紀は『合理性』を追求した時代だったが、21世紀は、ゆとりを大切にした『非合理性』の時代になる」

なんて言われますが、僕はそうは思いません。
環境保護というものは、今まで忘れられていた要素(心のゆとりとか、自然とか)を含めて更なる合理化を図っていくことに過ぎないと思っています。

みなさんはどう思われますか?

小泉洋平(こいずみようへい)

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