*** Lucyみさおの逃亡日記セブ編:Misao's cebu Report ***
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【Misao's cebu Report(07)】
=Can I take a picture?=
DATE:2001.07.26 at J.Panis St., Cebu city
REPORT&PHOTO:石谷みさお(りぶらぶりんくドットコム)


このカメラにズームはない。被写体のアップを撮りたければ、近づくしかない。
「ズーム付のカメラを用意したほうがいい。」
もう随分前から幾度となく忠告を受けていた。仕事への投資と考えれば決して高いものではない。実際、買えなかったかというと、そうではない。低性能のこれが好きなのだ。
立ち並ぶ小さな店、ジープニー、見慣れぬサイン、働く人、歩く人。欲しい構図を求めるままに近づく。普通は煙たがられるか逃げられる。時にはオッサンに怒鳴られる。そんなことは過去に何度もあった。ここでもやっぱりそうなるか。なるやろな。その時はその時で謝るか逃げるかすればいい。

カメラの窓からどんどん被写体に近づいていく。誰も逃げたり、怒ったりしない。それどころか、次から次へと俺も俺もとよってくる。撮られ損ねた男は、もう一度撮ってくれとポーズを決め、赤ん坊の父親は、私の後ろで笑わせるために飛んでいる。
撮るたびに画像をモニターで見せてまわる。喜んだり、照れたり、冷やかしたり、でも誰も嫌がる人はいない。撮影する先々で笑いの輪ができる。

時々、ズームのカメラを買おうと思うときはある。それを買えば、きっと新しいことに挑戦できるのもわかっている。けれど、この低性能のカメラでないと知りえなかったこともある。
機械の性能の低さは自分のキャラクターでしかカバーできない。そしてそれが、結果的に思いがけない効果を生み出し、素晴らしい経験を私に与える。

石谷みさお(いしたにみさお)

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