*** Lucyみさおの逃亡日記セブ編:Misao's cebu Report ***
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【Misao's cebu Report(18)】
=Lifeline=
DATE:2002.07.29 at Office of A company
REPORT&PHOTO:石谷みさお(りぶらぶりんくドットコム)


「大丈夫でしょうけど、一応これを持っておいてください。」
そう言って相棒はR氏に借りたプリペイド式の携帯電話を私に渡した。ここフィリピンでは、ノキアが普及している。メールも使える。機能と使い勝手は日本と全く変わらない。表示は英語だ。Ms.Lと、互いの携帯電話のテストをしながら、番号を保存する。何かあれば、彼女へ電話をかければいい。

「ここに書いておきましょう。」
Ms.Lはさっきのメモに携帯の番号を付け加える。そして私は最後にもう一度、彼女の名前をそこに書いてもらった。

情報の種類と質は様々だ。それはその時の目的によって変化する。私が求めていたのは、行く方法と帰る方法、そして連絡先だけだった。彼女に貰ったメモは、ミスコピーの裏を使った、見た目は何の変哲も ない代物だ。もし私がこれをどこかで落としても、拾った人にはただのゴミにしか見えないだろう。けれど今の私にとって、このメモは何よりも大切だ。

自分を自由に動かすためには、自分を安心させる何かがいる。今の私にとって、このメモがまさしくその何かだ。この番号のジープニーにさえ乗れば必ずここへ帰ってこれる。たったそれだけのことが、驚くほど自分を自由にする。

「ほな、行って来るわ。」
「気をつけて。」
すでに仕事を始めていた相棒は書類に目を落としたまま、片手だけを挙げて手を振っている。私は部屋を出て、Ms.LとMr.Rに挨拶してからオフィスを出た。
携帯電話はバッグに入れた。そして彼女に貰ったメモは、何があっても失くさないように、ジーンズのポケットに。これが今日の私の命綱になる。

石谷みさお(いしたにみさお)
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