| *** Lucyみさおの逃亡日記セブ編:Misao's cebu Report *** |
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【Misao's cebu Report(29)】
=Past and now= |
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DATE:2002.07.29 at Office
REPORT&PHOTO:石谷みさお(りぶらぶりんくドットコム) |
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オフィスのドアを開けてくれたのはR氏だった。既に6時を回り、あたりは少し薄暗くなっている。相棒が何度かケータイに連絡を入れたと聞いて驚いた。確かに、着信履歴が表示されている。私はまったく気づいていなかった。
「なんで電話に出なかったんですか?」 相棒は大きな方眼紙を広げてシステムの設計図を確認しながら少し怒ったようなほっとしたような顔をしている。 「別に何もないとは思いましたけど、なんせ連絡一つないし、おまけにこっちの電話もとらないし。さすがに、一瞬、明日の新聞記事が目に浮かびましたよ。」 「なんでやねん。」 「あのね、新聞沙汰になった場合、名前が出るのはあなた一人じゃないんですよ。まったく。この会社にだって迷惑がかかるし、だいたい、僕だってそんなことで迷惑かけられちゃたまったもんじゃない!」 「つまりアレか?ウチの身より、新聞沙汰を心配したわけやな。」 「そうです!」 まったく心配したならしたと素直に言えばいいのに、と思いつつ、しかし実際に心配をかけたのは事実なので、「すまんすまん」と謝りながら、私は三年前のサンフランシスコを思い出していた。 初めての海外で、おまけに英語などまったく話せなかった私は、相棒にケータイ電話を手渡され、サンフランシスコの街角に一人で放り出された。一時間で迎えに来るはずが、二時間たっても三時間たっても連絡はない。結局私は怖くて満足に歩くこともできず、長い時間を一件のカフェで過ごした。 あの時は地図を買うという頭すらなかった。サンドウィッチを注文する方法も、路面電車に乗る方法も知らなかった。今歩いている場所はどこですか、と、人に尋ねる言葉すら知らなかった。やっとのことでカフェの場所を聞き、相棒に迎えに来てもらった時にはお腹をすかせて泣きそうな顔で「疲れた。帰りたい」と言ったのを覚えている。 奴の中で、私はあの日のまま成長していない。だから今日もきっと、すぐ電話が来て、「今どこにいるかわからない」「迎えに来て」「お腹すいた」と泣き言を言うと思っていたのだろう。 相棒は方眼紙を確認しながら、時折PCに何やら打ち込み、また確認しては打ち込む、という作業を繰り返している。私はその向かいに座って、今日撮った写真を確認しながら、この男が、”あの時のままであるはずの私”から連絡が来ないことにどのくらい戸惑ったか、と思うと、なんだかふと、おかしくなって、一人でクスクス笑っていた。 石谷みさお(いしたにみさお) Lucyみさおの逃亡日記セブ編(30)へ ※この記事の著作権は 石谷みさおに属します。 本人に許可なく転載、転用等をすることを禁じます。 ※この記事に関するご意見ご感想、は info@livelovelink.com までお寄せ下さい。 |