*** Lucyみさおの逃亡日記セブ編:Misao's cebu Report ***
海外情報INDEX
Misao's Cebu Report INDEX

【Misao's cebu Report(35)】
=My special party(4)=
DATE:2002.07.30 at Downtown
REPORT&PHOTO:石谷みさお(りぶらぶりんくドットコム)


最初の名前を書いた後は、もう、時間との戦いでしかなかった。
次から次へと途切れることなく客は続く。私は辞書を引いて文字を選び、そして客の選んだカードに名前を書く。相棒はその名前に適当な意味をつけて説明する。いったいどんな説明をつけているのか、それすら聞いている暇もない。頭を上げて客の顔を見る余裕すらない。長い名前や、聞きなれない名前が多かった。文字を選ぶのに時間がかかりすぎていた。

相棒は私が漢字を書き上げる間、手があけばすぐに呼び込みを始めた。
「彼女はグレートなカンジデザイナー!サンフランシスコでも、インドでも、彼女は漢字で名前を書きました。彼女はこのためだけにセブに来た!明日はない!今日だけでっせ!一枚5ペソ!さあ、名前を教えて!今日しかないで!」

相棒の声は響く。「No more tomorrow !」がまた一段と客を増やす。私の浴衣の下では、汗が背中や裾に流れ落ちる。時折小さなアリが、漢字用のカードや、私の腕や脚を這う。一体、今何時なのか?休みたい、ほんの少し休みたい、脚が随分としびれてきた。流れる汗を拭きたい。

「ちょっと休憩したいねん。呼び込みやめてくれる?」
五分でよかった。ほんの少し、膝を崩して汗をふければ、それでよかった。ほんの少し、ほんの少し休憩したかった。稼いだ金を入れている国語辞典の箱は充分に重くなっている。私は何度か相棒に頼んだ。

「わかりました!」
相棒はそういって、ニヤリと笑った後、間髪おかずに
「Give me your name! No more tomorrow !」
と、大声で呼び込みを始めた。

石谷みさお(いしたにみさお)
Lucyみさおの逃亡日記セブ編(36)へ



※この記事の著作権は 石谷みさおに属します。
本人に許可なく転載、転用等をすることを禁じます。

※この記事に関するご意見ご感想、は
info@livelovelink.com までお寄せ下さい。