【 りぶらぶりんく京都マガジン臨時号:アフガンからの手記 】発行日:2001.9.21━━ 京都キャンパス情報コミュニティ りぶらぶりんく京都 URL:http://www.livelovelink.com/kyoto/ 発行:りぶらぶりんくドットコム                The gift of LAUGHTER is best when SHARED ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ みさお@りぶらぶりんくドットコムです。 前回の臨時号では、NYからのメールをご紹介しました。 今日は国連難民高等弁務官カンダハール事務所で働いていた 千田悦子(ちだ・えつこ)さんの手記をご紹介したいと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【報道機関の煽る危機感】 国連難民高等弁務官 千田悦子(ちだ・えつこ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 9月12日(水)の夜11時、カンダハールの国連のゲストハウスで アフガニスタンの人々と同じく眠れない夜を過ごしている。 私のこの拙文を読んで、一人でも多くの人が アフガニスタンの人々が、 (ごく普通の一人一人のアフガン人達が)、どんなに不安な気持ちで 9月11日(昨日)に起きたアメリカの4件同時の飛行機ハイジャック 襲撃事件を受け止めているか 少しでも考えていただきたいと思う。 テレビのBBCニュースを見ていて心底感じるのは、今回の事件の 報道の仕方自体が政治的駆け引きであるということである。 特にBBCやCNNの報道の仕方自体が根拠のない不安を世界中に あおっている。 事件の発生直後(世界貿易センターに飛行機が2機突っ込んだ時点で) BBCは早くも、未確認の情報源よりパレスチナのテログループが 犯行声明を行ったと、テレビで発表した。それ以後 事件の全貌が 明らかになるにつれて オサマ.ビン.ラデンのグループの犯行を示唆 する報道が急増する。その時点でカンダハールにいる我々はアメリカが いつ根拠のない報復襲撃を、また始めるかと不安におびえ、明らかに 不必要に捏造された治安の危機にさらされる。 何の捜査もしないうちから、一体何を根拠にこんなにも簡単に、 パレスチナやオサマ・ビン・ラビンの名前を大々的に報道できるの だろうか。そしてこの軽率な報道がアフガンの国内に生活をを営む 大多数のアフガンの普通市民、人道援助に来ているNGO(非政治組織) NPOや国連職員の生命を脅かしていることを全く考慮していない。 1998年8月にケニヤとタンザニアの米国大使館爆破事件があった時、 私は奇しくも ケニヤのダダブの難民キャンプで同じくフィールドオフィサー として働いており、ブッシュネル米国在ケニヤ大使が爆破事件の2日前 ダダブのキャンプを訪問していたという奇遇であった。 その時も物的確証も無いまま オサマ・ビン・ラデンの事件関与の疑いが 濃厚という理由だけでアメリカ(クリントン政権)はスーダンとアフガニ スタンにミサイルを発射した。スーダンの場合は、製薬会社、アフガンの 場合は遊牧民や通りがかりの人々など 大部分のミサイルがもともとの ターゲットと離れた場所に落ち、罪の無い人々が生命を落としたのは 周知の事実である。 まして、標的であった軍部訓練所付近に落ちたミサイルも肝心のオサマ・ ビン・ラデンに関与するグループの被害はほぼ皆無だった。 タリバンやこうした組織的グループのメンバーは発達した情報網を携えて いるので、いち早く脱出しているからだ。 前回のミサイル報復でも、結局、犠牲者の多くは 子供や女性だったと言う。 我々国連職員の大部分は 今日緊急避難される筈だったが天候上の 理由として国連機がカンダハールに来なかった。ところがテレビの報道 では 「国連職員はアフガニスタンから避難した。」 と既に報道している。 報道のたびに「アメリカはミサイルを既に発射したのではないか。」という 不安が募る。アフガニスタンに住む全市民は 毎夜この爆撃の不安の中で 日々を過ごしていかなくてはいけないのだ。 更に、現ブッシュ大統領の父、前ブッシュ大統領は 1993年の6月に 同年4月にイラクが同大統領の暗殺計画を企てた、というだけで同国 へのミサイル空爆を行っている。世界史上初めて、「計画」(実際には 何の行動も伴わなかった?)に対して実際に武力行使の報復を行った 大統領である。現ブッシュ大統領も今年(2001年)1月に就任後、ほぼ 最初に行ったのが、イラクへのミサイル攻撃だった。 これが単なる偶然でないことは 明確だ。 更にCNNやBBCは はじめからオサマ・ビン・ラデンの名を引き合いに 出しているが米国内でこれだけ高度に飛行システムを操りテロリスト 事件を起こせるというのは大変な技術である。なぜ、アメリカ国内の 勢力や、日本やヨーロッパのテロリストのグループ名は一切あがらないの だろうか。他の団体の策略政策だという可能性は無いのか? 国防長官は早々と 戦争宣言をした。 アメリカが短絡な行動に走らないことをただ祈るのみである。 それでも 逃げる場所があり 明日避難の見通しの立っている我々 外国人は良い。今回の移動は 正式には 避難(Evacuation)と呼ばずに 暫定的勤務地変更(Temporary Relocation)と呼ばれている。 ところがアフガンの人々は一体どこに逃げられるというのだろうか?  アメリカは隣国のパキスタンも名指しの上、イランにも矛先を向けるかも しれない。前回のミサイル攻撃の時は オサマ・ビン・ラデンが明確な ターゲットであったが 今回の報道はオサマ・ビン・ラデンを擁護している タリバンそのものも槍玉にあげている。 タリバンの本拠地カンダハールはもちろん、アフガニスタン全体が標的に なることはありえないのか? アフガニスタンの人々も タリバンに多少 不満があっても、20年来の戦争に比べれば平和だと思って積極的に タリバンを支持できないが、特に反対もしないという中間派が多いのだ。 世界が喪に服している今、思いだしてほしい。 世界貿易センターやハイジャック機、ペンタゴンの中で亡くなった人々の 家族が心から死を悼み 無念の想いをやり場の無い怒りと共に抱いて いるように、アフガニスタンにも たくさんの一般市民が今回の事件に 心を砕きながら住んでいる。 アフガンの人々にも嘆き悲しむ家族の人々がいる。世界中で、ただテロの “疑惑”があるという理由だけで、嫌疑があるというだけで、ミサイル攻撃を 行っているのは アメリカだけだ。 世界はなぜ こんな横暴を黙認し続けるのか。このままでは、テロリスト 撲滅と言う正当化のもとに アメリカが全世界の“テロリスト”地域と称する 国に攻撃を開始することも可能ではないか。 この無差別攻撃や、ミサイル攻撃後に、一体何が残るというのか。 又、新たな報復、そして、第2,第3のオサマ・ビン・ラデンが続出するだけで 何の解決にもならないのではないか。オサマ・ビン・ラデンがテロリストだから と言って、無垢な市民まで巻き込む無差別なミサイル攻撃を、国際社会は 何故、過去に黙認しつづけていたのか。 これ以上 世界が 危険な方向に暴走しないように、我々も、もう少し、 声を大にしたほうが良いのではないか。 アフガンから脱出できる我々国連職員はラッキーだ。不運続きのアフガンの 人々のことを考えると 心が本当に痛む。どうか、これ以上災難が続かない ように、今はただ祈っている。そしてこうして募る不満をただ紙にぶつけている。 千田悦子    2001年9月13日 筆 ※この記事の著作権は千田悦子さんに属します。   本人に許可なく転載、転用等をすることを禁じます。 ※この記事に関するご意見ご感想、は info@livelovelink.com までお寄せ下さい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■編集後記■   今日は、私の参加するクローズドなMLにアップされた手記を   転載する形で、皆様にお届けしました。   何か物事を判断するには、出来るだけ多くの方向から見る事が   必要です。   私にはまだ何も判断出来ません。   ただ、心を痛めています。     (みさお) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 りぶらぶりんく京都マガジン臨時号:アフガンからの手記 】 発行日:2001.9.21 発行部数:400 発行回数:不定期 (週1〜3回) 発行:りぶらぶりんくドットコム 発行人:石谷みさお URL: http://www.livelovelink.com/ E-mail: info@livelovelink.com このマガジンは、発行人である石谷みさお@りぶらぶりんくドットコムが名刺 交換をさせて頂いた方、何度かメール交換をさせて頂いた方、りぶらぶりんく 京都のサイトからお申し込み頂いた方にお送りさせて頂いています。 このマガジンに対するレスポンスは info@livelovelink.comへ。 新規の送付お申し込みはinfo@livelovelink.com へ。 今後の送付不要の方は、このアドレス宛に【不要】と返信下さい。 ※このメールマガジンによって第三者が受けた、いかなる損害についても、  りぶらぶりんくドットコムは責任を負うものではありません。 ※著作権に関して明記されているものに関しては本人の許可なく   転載、転用等をすることを禁じます。 チャオ!