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■Lucyみさおの逃亡日記タイ・バンコック編 NO:23 珍種■
遺跡は中州の西側に密集している。橋を渡ってまっすぐ2kmも走れば適当な遺跡にたどりつく。その後は、コンパスをあわせて地図のとおり、走ればいい。

日本人的距離感覚の甘さゆえの行き当たりばったり。京都ならこの感覚で一日走り回ったとしても、金閣銀閣岡崎清水あたりは余裕でまわれる。絶対座標に基づいてつくられた碁盤の目は、余程でなければ迷子にはならない。

しかし、ここはアユタヤ。町の中に遺跡があるのか、遺跡の間をぬうように町が出来ているのか、まったくわからない、とにもかくにも遺跡だらけの町。

初めて京都を訪れた外国人が、二条陣屋の庭にある祠を指差し「Shinto shrine?」と聞くのと同じ。名も無い遺跡でも、その偉大な姿に私の目は釘付けになる。

中州を走る主要な道路のあちらこちらに、遺跡への標識がある。そのとおり走っているつもりなのに、その標識から遺跡までの距離に負けて途中で引き返す。

名も無い遺跡、名高い遺跡、いったいいくつまわったのか。正直言って覚えていない。

観光名所と呼ばれる遺跡の周囲は道路も駐車場も美しく整備され多くの観光バスが停まっている。しかし、私の走ったほとんどの道は、アスファルトすらひかれていない、ホコリの舞う砂利道ばかり。間違っても観光客の通るような道やない、そんな道をサングラスかけた日本人のオバハンが、ガキ用バイクでひた走る。

ジープニーに乗る学生たち、オートバイをかっとばす兄ちゃん。店先のおっちゃんおばちゃん。ぜえぜえ言いながらバイクで走る私の姿を、時には振り返り、時には奇妙な笑みを浮かべながら、皆が私を見ている。

遺跡の町で、遺跡が日常の中にある人々にとって、今、私の存在は動物園にやってきた珍種並みの興味を人々に与えている。

NO:24 争いの後
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