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■Lucyみさおの逃亡日記タイ・バンコック編 NO:31 支度■ |
「これ、タイ語で書いてくれへん?」
いくつかの英文を書いた大学ノートを広げて、私は受付の女性に不細工な英語で頼んだ。 その英文は見る人が見れば、眉間に皺を寄せ目を覆うか、ぶっと噴出すようなブザマなもの。そんなこと気にしてられっかい!幸いなことに、受付の女性は、心よく、その英文の下にタイ語で文章を書いてくれた。 「読み方、教えてくれへん?」 次に私は、受付カウンターでホテルスタッフ数人に囲まれて、書いてもらった文章のいくつかを話すレッスンを受けた。最低限、このくらいは言えないと、客の呼び込み一つできない。 「I'll make your name in Kanji」 「ちゃんちゃたんちゅうかんちい」 「Kanji is Japanese character」 「ちょっとまいぺんほんぺんちいちゃういーぷん」 「1 name 10 baht」 「ぬんちゅしいっぷばーっ」 大学ノートには、英文の下にタイ文、その下にひらがなが並んでいる。 ホテルスタッフに繰り返し、繰り返し、発音のレッスンを受けながら、次に私は、「I'll make your name in Kanji」のタイ文を指差し、 昨日買ったピンクの色画用紙を受付カウンターに広げて、その上に極太マジックを置き、 「これ、ここに書いてえな」 とスタッフに頼んだ。 しかし、タイ語のレッスンには熱心だったスタッフも、「いやんウチ、堪忍や」てな感じで誰も書いてはくれない。しかし、それでは商売はできない。私は何度も何度も「頼むわー」を繰り返し、結局いつも食事の時に話しかけてくれていた、とってもやさしい給仕のナローサが書いてくれた。 完璧。 その後私は、何度も繰り返し繰り返しタイ文ひらがなバージョンをぶつくさぶつくさつぶやきながら、食事を済ませ、スタッフに礼を言って、部屋に戻った。 エレベーターを降りると私の部屋のドアはスッキリ全開で可愛い女の子が一人でベッドメイクの真っ最中。黙ってみていればいいものを一緒になって、二人できゃっきゃはしゃぎながらシーツをセットしていると、ふと、昨日のダンボールがなくなっていることに気付く。 「あれ?!ダンボール知らん?ダンボール?」 というタイ語は知らないので、聞くこともできず、あわてて部屋の外に飛び出すと、廊下の隅にゴミと一緒に昨日のダンボールが。 「あかんあかん、これウチいるんや。」 ニコニコ笑いながら、ゴミの中から大きなダンボールを抱えてベッドメイクされたばかりの美しい部屋に戻ってきた私を、彼女がどう思ったかはさておき、その後も私たちは、言葉が満足に通じない中で一緒に枕カバーを変え、そして彼女は「ありがとう」と言って部屋を出て行った。 浴衣と帯はメイクされたばかりのベッドの上にきちんと畳んで置かれている。 私は素っ裸になって、浴衣を着付け始めた。 NO:32 ちゃんちゃたんちゅうかんちい! ←メールマガジンバックナンバーINDEX |
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