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■メールマガジン「Lucyみさおの逃亡日記番外編ベトナム・ハノイ-サパ編」に関して
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■Lucyみさおの逃亡日記番外編ベトナム・ハノイ-サパ編 NO:2 みさお「り」したに■
「ちょっと兄ちゃん、そこウチの席やで」
「いや俺、窓の外見たいし、うふうふ。そこ空いてるやん、うふうふ。そこ座りいな。な、うふうふ。」

ベトナムからのツアー客らしき若い兄ちゃんにワケのわからん理由で窓際の席をぶんどられ、仕方なしに座席番号すら確認せず中央シートの空席に座った。

バンコックからハノイに向かうその「国際線」はどう見てもアジアの「国内線」。食事は魚か肉かも聞かずに、ぼんぼこぼんぼこ乗客に有無を言わせず、どんどこどんどこ配膳する。飲み物は食事の後先関係なく、効率優先でやってくる。

「大丈夫?ベトナムは社会主義国よ。」

旅の前、ある人に問われるまで、私の中に「社会主義国」なんてモノは存在しなかった。ベトナムはベトナムでベトナムでしかない。しかし、この配膳の後から、私はほんの少し、ああ、そうなのかもしれない、と、覚悟を決めた。

フライトはたった二時間。文句なしに美味しい機内食をたいらげ、一息ついて、ウォークマンで音楽を聞いていればあっと言うまにノイバイ国際空港に到着。

私の席をぶんどった兄ちゃん達は、着陸後、ランディングがまだ終わらないうちからシートベルトを外し、きゃっきゃと騒ぎながら、座席上部のトランクケースを開けて荷物を出し始める。アテンダントがあわてて止めたが、ここまでされるとかえって微笑ましい。

イミグレーションは非常に静かで、日本のそれと似ている。今まで行ったどの国とも違う奇妙な緊張感。 なるほど、日本に初めて訪れる外国人はこんな気分なんかもしれん、と思いつつ、入国カードにあった理解できない一つの項目が気にかかる。

”Unaccompanied baggages"
正式の、仲間のない、別便・・etc.

なんやねんこれ。チェックインバゲージのことか?いや違うか?ようわからん。とにかく大きな登山用リュック一つだけチェックインしてある。もしかしたらそれのことかもしれん。

私はそこに”1”と書き込み、その後、イミグレーションにいた係員らしき若いオトコマエの兄ちゃんに尋ねた。
「ウチの荷物はコレとコレ。あと、チェックインバゲージが一個。これは何やの?チェックインバゲージのことやの?」
静かなイミグレーションに私の不細工な英語が大声で響き渡る。しかしそんなもんは意に介さず、私はくるくる回りながら、兄ちゃんに斜めがけにしたカメラバッグや背負ったリュックを指差し見せる。

兄ちゃんは困りきった様子であちらの方を向き、小さく「NO」「NO」とつぶやいた。
「NO?ゼロのこというてんの?ゼロ?ゼロって書くの?」
私の大声に兄ちゃんはほとほと困った様子でただ、首を縦にふる。どうやらこれはちょいとややこしい荷物のことらしい。

私はその項目をゼロに書き換え、無事イミグレーションを通過。兄ちゃんに片手を上げて挨拶をした後、バゲージクレイムで荷物を受け取り、そのまま空港の外に出た。

今夜のホテルに出迎えを頼んでいる。どんな運転手がやってくるのか。ややこしそうな奴なら、知らん顔して逃げねばなるまい。

ウェルカムカードを手にしたオッサンニイチャン連中の中に"Misao Lishitani Hotel classic 1" と書いたカードを見つけた。薄手のセーターを着た、背の高い、まだ少年のようなその兄ちゃんは、怪しさのかけらもなく、私を安心させた。
「逃げんでもええな。」
そう判断し、「リシタニって誰やねん」と苦笑しつつ、兄ちゃんに近づき、カードを指差しながら私は言った。

「あんた、ホテルクラシックファーストの運転手さん?」
「うん」
「ウチはこれ。”みさお「い」したに”。”「り」したに”ちゃう。ともあれ、お迎えおおきに。」

そして、運転手の顔がほころぶとともに、大爆笑で私のベトナムは始まった。

NO:3 ぶんぶんぶいんぶいん



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