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■メールマガジン「Lucyみさおの逃亡日記番外編ベトナム・ハノイ-サパ編」に関して
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■Lucyみさおの逃亡日記番外編ベトナム・ハノイ-サパ編 NO:13 荷物はどこへ■
目覚ましを止めて、まだ、ベッドでうとうとしていると、一瞬にして部屋中の電気が消えた。朝5時半。窓の外はまだ暗い。どうやら停電しているらしい。私はケータイ電話の画面の明かりを蝋燭代わりに便所へ行き、もう一度ベッドへもぐりこんだ。

7時にバックハーへ向けて出発する。飲み食いすると道中便所に困るかな、と思い、朝食は摂らないと決めていた。だから、もう少し眠る時間はある。白みかけた窓の外から何やら人の話し声のようなものが聞こえる。この町は昼も夜もそして朝も奇妙な幻想の中に私を包み込む。
やがてまた一瞬にして部屋中の電気が点いた。

バックハーへ向かうミニバスには、次から次へとツアー参加者が乗り込んでくる。バックハーのサンデーマーケットは週一回。皆、今日この日を狙ってサパに来ている。ほとんどが西洋人。どこの国から来ているのかはわからない。日本人の、女子学生やちょっとしたお年頃の女の子も一緒だった。私は一人がけのシートに座り、腕組みをしてじっと出発の時をまっていた。

いよいよ座席は目一杯、になりかけたとき、ノッポで若い白人の男が乗り込んできた。早口の英語で周りに何やらまくしたてる。最後部に陣取ったシニア女性団体の真ん中に座席を確保した彼は、ミニバスが発車するなりハーレム状態で一人べらべらとしゃべり始めた。

とにかくしゃべる、よくしゃべる。その姿はまるでタランティーノ。ハーレムの女性は皆おしゃべり好きなシニア軍団。この若い男は、その女性達を休む暇なく笑わせている。いったい、何を言うてるんやろ?少々気になる、そしてうるさい。

あかんでノッポ、オマエ、ツッコミの間が早すぎる。もうちょっとハーレムにも喋らして、上手いこと、ボケとツッコミでやらんかい。

私は彼の会話をできるだけ聞かないように、そして自分がハーレムに組み込まれないようにシートに深々と腰掛け、じっと寝たふりを続けた。

一時間半ほど走って、ミニバスはラオカイのレストランに到着。ここでツアー参加者は荷物を降ろし、ベトナム茶で休憩をとる。ヨーロッパ系のバックパッカーは身体もでかいが荷物もデカイ。彼らの旅は、大抵一ヶ月以上に渡る長いものなのだ。

このとき、私は荷物を降ろしていなかった。レストランを信用していなかったとか、眠っていたとかではなく、単純に、「荷物をここに預けるからね」の英語が聞き取れなかっただけ。このことに気付いたのは、ラオカイからバックハーに向けてバスが出発した後だった。

バスは出発してすぐ、イキナリ急ブレーキでストップした。ノッポのおしゃべりはこの絶好のチャンスを逃さない。運転席に向かって大声で「バックハー?」と叫ぶ。ああもうたまらん、私は黙っていることが出来ずに「イエス!」と、叫んでしまった。車内は爆笑の渦に包まれた。

その後、ノッポが差し出したベトナムクッキーをもらったのをキッカケに私は、さっきまで私の傍らに積み上げられていた荷物が無いことを不思議に思い、「荷物はどこいったん?」と尋ねた。その瞬間、周囲にいたツアー客が一斉に私を見、「え?荷物降ろさんかったんか!?」と言った。

「どないすんの?」
「みんな荷物預けたんやで」
「帰りは違うバスやぞ」
「いやオレはこのバスやと思う」

口々にあっちこっちから、おせっかいな連中(なぜか若い男が多い)が問いかけてくる。たかが荷物置き忘れたくらいで、何をそんなに騒いどんねん。帰りもこのバスやったらそれでラッキー、あかんかったらあかんかったで、そんなもんどってことあるかい。こちとら鍛え方が違うわい。

「もうええがな。いざとなったら、背負うて歩くさかい。」

私はカタコトの英語とジェスチャーでにっこり笑って、質問を封じた。奴らは目を丸くして、見事に静かになった。このとき私は、2時間ほどのトレッキングがツアーに組込まれていたことを、すっかり忘れていた。

やがて、バスは川を挟んで窓越しに中国を見せながらラオカイを後にし山岳地帯の壮大な景色の中を二時間かかってバックハーに到着した。


■バックハー■

ラオカイから車で約二時間ほど行ったところにある山岳地帯の町。
その様子は次号に譲ります。

バックハーへはツアーの利用が便利。
ハノイから二泊〜三泊の、サパ・バックハー・周辺地域を周るツアーもありますし、サパのホテルで日帰りツアーを手配することも可能。

ベトナムは交通網があまり発達しておらず、観光客の移動は、ツアー参加や、ツアーバスにだけ便乗する、という方法をとるのが便利です。もちろん、現地バスなどの移動手段に比べると割高ですが、確実です。

私はバックハーへはサパ到着後にツアーを申し込みました。
サパからバックハー、バックハーからラオカイへの往復ミニバス、現地でのトレッキング、そして昼食がついて、10ドルくらいだったと思います。
 
ガイドは親切でしたし、参加者の顔ぶれもよかった。英語ベースになりますが、まあ、鞄を下ろし忘れるなど、多少の行き違いを楽しめる人には、十分楽しいツアーになります。

NO:14 花畑



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