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■Lucyみさおの逃亡日記番外編ベトナム・ハノイ-サパ編 NO:16 ドしゃべりタランティーノ■ |
「オマエどこから来たんや?」
ニヤニヤしてノッポの体を折り曲げながら、 ドしゃべりタランティーノはしっかり私の隣に陣取った。 ミスった。 ヤツの後でバスに乗ればよかった、と思えど後の祭り。私はこの後、一時間に渡って、 ヤツの餌食になる。 日本や、オマエは?イタリアや。オマエその写真どないすんねん?ウェブに上げるんや。ほな、毎週毎週アップデータすんのか?まあな。ドリームウェーバー使うてるか?いや、ウチはあれ好かん、テキストエディタで十分や。まさかジャバで重たい細工しとんのとちゃうやろなあ、あれは画像が出てくる前にコーヒー一杯飲めるからな。アホ、日本のコンディションやったら余裕で使えるワイ。オマエこそ、あのビデオなんじゃい、あれは仕事か?いや、違う。売るんか?売れたらええと思うてる。 日本っちゅうたら、スシ、テンプラ、スキヤキやな。オレ、韓国のセオルで日本食レストラン見たぞ。セオルってどこじゃい。S,E,O,U,L。それはソウルや。ほんでオマエ、ソウルで何食うてん? え? 日本食レストラン行ったんやろ。スパゲッティや。なんでやねん! いや、日本食レストランは見ただけや、高いやん、日本食。 オマエ、トレッキングの時おらんかったな、どないしてたんや?オレは一人でトレッキングしてたよ、ツアーには参加してへんのや。なんでやねん。ツアーは高いわ、一人やったら安い。なるほどな。ええ"絵"が撮れたんか。まあな。 オレのトモダチが言うてたけど、日本行ったら英語の教師はなんぼでも仕事があるらしいなあ。さあ、ウチはよう知らん。イタリア語はアカンのか?あんまり人気ないんちゃう。オマエの家にオレ泊めろよ、ほなオレ、イタリア語、オマエに教えるぞ。アホカオマエ。こんなん知ってるか?コカイン、マジックマッシュルーム。ええかげんにせえ! オマエこれからどこ行くねん。ウチはあと二日で帰るわい、一週間の短い旅行や、オマエはどないすんねん。オレはこれからアンコールや。さよか、長い旅か。おう。オマエの旅の目的は何や?オレ、少数民族撮影してるんや。ほう、そらオモロイな、どこ行った。色々行ったぞ、こないだモンゴル行ってきた。そらええな。 モンゴルと日本人はもともと同じ人種で言語も同じ語族やと説明しようとして、英語が出てこず、結局ヤツとの会話はここで漸くストップした。すまん、ウチちょっと寝かせてくれるか、と言って、すっかり狸寝入りを決め込んだ後も、ラオカイに着くまでこの男は周囲を巻き込み喋りまくっていた。 イタリア人の男は、女性に対して「口説くのが礼儀」と思ってる、と、誰かに聞いたような気がする。イタリアの観光地を一人で歩いていると、なんとまあ年老いたおじいさんに口説かれた、と36歳のトモダチが笑って言った。正確には、イタリア人の男は、一人でいる女性を放っておけないのだろう。一人で、さみしそうで、オレ、たまらんわ。何かちょっかい出して、笑わしたらんと男が廃る。そんな感じだろうと私は思う。 彼らのコミュニケーション能力の高さは言葉の壁を越える。ジェントルマンの彼らは、世界中の女性を口説けるだけの能力を備えている。時には頬を張られることもあるだろうが、そんなことでへこたれそうな様子もない。天性の図太さと明るさは、相手の持つコミュニケーション能力すらも最大限に引き出す。だからこそ、言葉の通じない少数 民族の中へもずんずん入り込んで行ける。 NO:17 一緒に?! |
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